プロトタイプ開発とは?メリットデメリット解説・他の開発方法との比較

システム開発の外注を検討する中で、要件が曖昧なため「本当にこの方向性で大丈夫か不安」と感じたことはありませんか。そのような時に役立つのが「プロトタイプ開発」です。

本格的なシステム構築に進む前に、試作版を作成して実際に使ってみることで、要件の齟齬を早期に発見し、本開発での大きな修正を防ぐことができます。

その結果、数百万円単位のコスト削減と品質向上が実現するのです。

本記事では、プロトタイプ開発の仕組みから、メリット・デメリット、他の開発手法との違い、そして成功のコツまで、経営者やシステム担当者が知っておくべき情報を網羅的に解説していきます。

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プロトタイプ開発とは?基本的な考え方

プロトタイプ開発の定義と本開発との違い、費用対効果を示したインフォグラフィック

プロトタイプ開発は本開発前に試作版で要件を検証する手法。投資50万円で本開発の修正コスト500万円削減が可能

プロトタイプ開発とは、本格的なシステム開発に進む前に、実際に動く試作版を作成し、複数の利用者に使わせながら要件を検証する開発手法です。建築で例えるなら、大規模な建物を建てる前にモデルハウスを建てて確認するようなイメージです。

本セクションでは、プロトタイプ開発の基本的な定義、本開発との違い、そして期間と費用の目安について解説していきます。

プロトタイプ開発の定義と仕組み

プロトタイプ開発では、最初に全ての機能を実装するのではなく、重要な機能や不確実な要素に絞った試作版を作ります。

その試作版を経営層や実務ユーザーに実際に操作してもらい、「本当に必要な機能は何か」「設計に問題はないか」「操作感は実務フローに合っているか」といった点を実物ベースで確認するのです。

書類やプレゼンテーションだけでは見えない課題が、早期に浮き彫りになります。

プロトタイプ開発のプロセスは、スコープ定義から始まり、設計・開発、テスト・フィードバック収集、検証・判断というステップで進みます。

これらのステップを順序立てて進めることで、要件の曖昧さを段階的に解消していくことができます。

プロトタイプと本開発の根本的な違い

プロトタイプの目的は確認・検証・学習です。セキュリティやパフォーマンスを完璧にする必要はなく、試作版を通じて要件や技術的な実現可能性を確認し、本開発に向けた学習を得ることが重要です。

本開発の目的は本番運用に耐えるシステムの構築であり、セキュリティ対策、パフォーマンス最適化、厳密なテストなど、本番環境で安定して動作するシステムを作ることに全力を尽くします。

プロトタイプをそのまま本番運用することは避けるべきです。以下の表で両者の役割の違いを整理しました。

項目 プロトタイプ 本開発
目的 要件確認・検証 本番運用可能なシステム構築
品質基準 確認できるレベル 本番環境で安定動作するレベル
期間 1~4ヶ月 3~12ヶ月以上

表から分かるように、プロトタイプは質よりも「確認」を優先し、本開発は「完成度」を優先しています。

開発期間と費用の目安

プロトタイプ開発にかかる期間は、通常1~2ヶ月程度が目安です。シンプルな機能のみなら2~3週間で完成することもあります。ただし、ユーザーテストやフィードバック収集、修正を含めると、3~4ヶ月程度かかることもあります。

費用は、スコープにより大きく異なります。簡易的なプロトタイプなら数十万円、標準的なプロトタイプなら100~300万円、複雑なプロトタイプなら300~500万円以上が目安です。

以下の表で規模別の費用をまとめました。

プロトタイプの規模 期間 費用
簡易版(画面確認) 2~3週間 数十万円
標準版(基本機能実装) 1~2ヶ月 100~300万円
複雑版(複数システム連携) 2~4ヶ月 300~500万円以上

重要なのは、プロトタイプ開発のコストと、本開発での修正コストを比較することです。プロトタイプに50万円かけて本開発での修正を500万円削減できるなら、投資価値があります。

プロトタイプ開発における4つのメリット

プロトタイプ開発の4つのメリットと修正コスト比較を示したインフォグラフィック

プロトタイプ開発の主なメリット:課題の早期発見、具体的なフィードバック取得、変更コスト削減(1/10以下)、技術検証が可能

プロトタイプ開発を導入することで、本開発前の段階で重大な課題を発見し、複数のステークホルダーから具体的なフィードバックを得ることができます。ここでは、プロトタイプ開発がもたらす4つの主要なメリットについて詳しく解説していきます。

本開発前に重大な課題を発見できる

プロトタイプ開発の最大のメリットは、本開発に多くのコストをかける前に、重大な課題を見つけることができる点です。

試作版を実際に使ってみると、要件定義の段階では気付かなかった課題が浮かび上がります。画面の操作性が実務フローに合わない、データの流れが複雑で混乱しやすいなど、理屈では分からなくても、実際に触るとすぐに分かることがあります。

その段階で設計を修正できれば、本開発での大きな手戻りを防ぐことができ、数百万円単位のコスト削減につながることも多いです。

プロトタイプで発見される課題には、操作フローの問題、データ構造の不適切さ、業務プロセスの齟齬などが挙げられます。

複数ステークホルダーからの具体的なフィードバックが得られる

プロトタイプを見て実際に操作してみると、経営層や利用部署の理解が深まります。営業部門からは「この操作フローは営業活動に合わないかも」「この画面には必要な情報が足りない」といった、実践的で具体的なフィードバックが得られます。

こうしたフィードバックが、本当に必要な要件を整理するための最高の材料になり、本開発に対する不安も減ります。以下の表で各部門からの意見を整理しました。

部門 フィードバック内容例
営業部門 操作フローが営業活動に合わない、情報が不足
企画・管理部門 ビジネス要件の達成度、投資効果の見通し
経営層 全体的な方向性、投資判断の基準

営業部門や経営層からの意見は特に重要であり、これらを本開発に反映させることが成功の鍵となります。

本開発での変更対応コストが大幅に削減できる

試作版の段階なら、機能の追加・削除や操作フローの修正も、比較的簡単に対応できます。本開発が進んだ段階での修正は、すでに実装されたコードを修正し、その関連部分も修正し、すべてを再度テストする必要があります。

コストも時間も大幅に増加します。プロトタイプの段階で十分に検討を重ねることで、本開発に入った後の変更要望を最小限に抑え、効率的な進行が実現できるのです。修正コストの差を以下の表で示します。

修正発見時期 修正コスト
プロトタイプ段階 20~30万円程度
基本設計段階 50~100万円程度
本開発中盤 200~500万円程度
テスト・納期間近 500万円以上

本開発中盤で発見された修正は10倍以上のコストが発生することが分かります。つまり、プロトタイプ投資は確実な経営判断といえるのです。

新しい技術やシステム連携の実現可能性を検証できる

プロトタイプ開発では、新しい技術や複雑なシステム連携が実際に動くかどうかを、本開発に入る前の段階で試せます。AI技術やクラウドサービス、複数の既存システムのデータベース同期など、実装前に小規模で試してみることで、実現可能性を正確に判断できます。

もし技術的な課題が見つかれば、その時点で代替案を検討したり、技術選定をやり直したりすることができます。

パフォーマンス、互換性、セキュリティ、保守性、コスト効果などの検証ポイントがあり、これらをプロトタイプで確認することで、本開発の成功確度が大幅に向上します。

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プロトタイプ開発における3つの注意点

プロトタイプ開発の3つの注意点を示したインフォグラフィック

プロトタイプ開発の注意点:追加コスト発生、品質基準の事前明確化、本番運用禁止の徹底が重要

プロトタイプ開発は多くのメリットがある一方で、発注側として注意が必要な点があります。これらの課題を事前に理解し、発注時に適切に対処することで、プロジェクトを成功させやすくなります。

初期段階で追加のコストと期間が発生する

試作版を作るため、追加の時間とコストが発生します。本開発だけなら2ヶ月で完成するシステムも、プロトタイプから始めると3~4ヶ月必要かもしれません。その分、開発ベンダーへの支払い額も増加することになります。

発注側として気になるのは「本当に追加投資が回収できるのか」という点です。以下の判断基準を参考にしてください。プロトタイプ投資は以下のような案件では必須であり、回収できる可能性が高いです。

  • 要件が60%未満しか決まっていない案件
    →プロトタイプで要件を確定させることで、本開発での修正を大幅に削減できます
  • 複数部門の要望が相互に矛盾している案件
    →プロトタイプを使って、各部門の優先順位を整理できます
  • 初めて導入するシステムで、運用ノウハウがない案件
    →試作版を通じた学習により、本番運用の準備が整います
  • 本開発の予算が5,000万円以上の大型案件
    →プロトタイプへの投資が全体の1~2%で済み、ROIが極めて高くなります

逆に、要件が100%確定している案件や、既存システムの仕様通り再構築する案件では、プロトタイプは不要で、追加コストの無駄になる可能性があります。

プロトタイプ自体の品質が低いと検証精度が落ちる

試作版は確認用なので、本開発のような厳密なテストやセキュリティ対策は施されていないことが一般的です。プロトタイプが思いのほか動かなかったり、予想と異なる動作をしたりすることもあります。

発注側として「これは要件定義の問題か、プロトタイプの品質の問題か」判断が難しくなることもあります。

発注側が取るべき対策として、プロトタイプの品質ラインを開発ベンダーと事前に明確にしておくことが非常に重要です。

以下の点について、契約段階で明文化しておくことをお勧めします。

  • 品質基準の明確化
    「画面遷移は正確に動作する」「確認したい機能の動作は保証する」「エラーハンドリングは実装」といった具体的な基準を決める
  • テスト項目の事前共有
    「このシナリオは必ずテストする」という項目を決め、テストレポートを納品時に提出させる
  • 修正対応の範囲と期間
    「初期納品後の軽微な修正は3回まで無料」といった対応可能範囲を明確にする
  • 動作環境の確保
    「ブラウザはChrome, Firefox対応」など、確認環境を事前に指定する

これらを決めておくことで、プロトタイプ段階でのトラブルを大幅に減らせます。

プロトタイプで完結してしまうリスクがある

試作版を見て「これで十分では」と判断され、そのまま本番運用したいという要望が経営層から出るリスクがあります。

プロトタイプをそのまま本番運用すると、セキュリティやパフォーマンスに問題があるシステムを本番環境で使うことになり、後々大きなトラブルが発生します。

実際のシステム運用では、以下のようなリスクが顕在化します。

リスク項目 プロトタイプの状態 本番運用時の問題
セキュリティ 基本的な対策のみ 個人情報流出、不正アクセスのリスク
パフォーマンス 小規模データでのテストのみ 大量データ処理で極端に遅くなる
運用保守 想定していない トラブル時の対応がなく、本番環境で業務停止
拡張性 限定的な構造 機能追加や改善が困難、やり直しのコストが高い
発注側の対策として、プロジェクト契約の初期段階で、「プロトタイプはあくまでも確認用であり、本番運用はしない」という方針を経営層と開発ベンダーの間で明確に共有しておくことが必須です。

以下を事前に決めておきます。

  • プロトタイプの運用期限を決定
    「プロトタイプは3ヶ月間のみ運用」と明記し、その後は本開発に切り替える
  • 本開発の計画を事前に設定
    「プロトタイプ完成後、1ヶ月以内に本開発を開始」という条件を盛り込む
  • 本番データの使用禁止を明記
    「プロトタイプではテストデータのみ使用、本番データは持ち込まない」を契約に記載
  • セキュリティリスクの書面確認
    「プロトタイプのセキュリティは不十分であることを承知の上で利用する」と経営層に署名させる

プロトタイプ開発と他の開発手法の比較

プロトタイプ開発、ウォーターフォール開発、アジャイル開発の特徴比較インフォグラフィック

開発手法の比較:ウォーターフォール(要件100%確定)、プロトタイプ(要件60〜80%)、アジャイル(短期サイクル反復)

システム開発には複数の手法があります。プロトタイプ開発と他の開発手法の違いを理解することで、自社のプロジェクトに最適な手法を選択することができます。

以下では、ウォーターフォール開発アジャイル開発スパイラル開発との違いについて詳しく解説していきます。

ウォーターフォール開発との違い

ウォーターフォール開発は、要件定義→設計→実装→テスト→運用という流れを、一方向に進める手法です。

最初の要件定義を徹底的に行い、その要件書に基づいて完成まで進めます。プロトタイプ開発とウォーターフォール開発の最大の違いは、本開発の前に試作版を作るかどうかという点です。

ウォーターフォール開発は変更に弱く、追加費用が大きく発生するため、要件が100%明確で変わらない案件に向いています。

プロトタイプ開発は、不確実な要件について試作版で検証してから本開発に進むため、要件が60~80%程度決まっているが、細部が不確実な案件に向いています。

両開発手法の特徴を以下の表で比較してみましょう。

比較項目 プロトタイプ開発 ウォーターフォール開発
要件確定度 60~80%程度 100%確定
変更への対応 柔軟で追加費用少ない 困難で費用大幅増加
向いている案件 新規事業、新技術導入 既存実績がある案件

表から分かるように、要件の不確実性が高いほどプロトタイプ開発が有効であり、要件が固定されているほどウォーターフォール開発が効率的です。

アジャイル開発との違い

アジャイル開発は、大きな機能を小分けにして、短いサイクル(1~4週間)で繰り返し開発と改善を行う方法です。

プロトタイプ開発は「本開発前の検証作業」であり、アジャイル開発は「開発方式そのもの」という大きな違いがあります。

プロトタイプ開発の後、アジャイル開発で本開発を行うハイブリッドアプローチも、要件の不確実性が高い案件では効果的な戦略です。

両手法の関係を以下の表で整理して見てみましょう。

項目 プロトタイプ開発 アジャイル開発
目的 要件検証・確認 段階的なシステム構築
実施時期 本開発の前段階 本開発そのもの
成果物 確認用の試作版 本番運用可能なシステム

表から分かるように、プロトタイプで確認した要件を基に、アジャイルで段階的に本開発を進める戦略が、多くのプロジェクトで効果的です。

スパイラル開発との違い

スパイラル開発は、計画→実装→評価→改善というサイクルを、らせん状に何度も繰り返す開発手法です。リスク管理を重視した開発方法として知られており、大規模で複雑なプロジェクトに向いています。

プロトタイプ開発は「本開発前の検証段階」、スパイラル開発は「全体の開発プロセス」という違いがあります。

スパイラル開発では、各サイクルで段階的に機能を追加していくため、大規模で複雑で、未知の要素が多いプロジェクトに向いています。

両手法の位置付けを以下の表で説明します。

比較項目 プロトタイプ開発 スパイラル開発
プロセス内での位置 本開発「前」の検証段階 開発全体を通じたプロセス
リスク管理 要件リスクを中心に検証 あらゆるリスクを段階的に管理
案件規模 小~中規模向け 大規模・複雑な案件向け

表から分かるように、プロジェクト規模と複雑性によって、適切な開発手法を選択することが重要です。

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プロトタイプ開発を成功させるための5つのコツ

プロトタイプ開発を成功させる5つのコツを示したインフォグラフィック

プロトタイプ開発成功の5つのコツ:目的と範囲の明確化、スコープ絞り込み、実務ユーザーからの意見収集、本番運用禁止の明記、意思決定プロセス設定

プロトタイプ開発を導入する際は、発注側として単に試作版を作らせるだけでなく、プロジェクト全体の進め方を工夫することが重要です。以下では、プロトタイプ開発を成功させるための5つの実践的なコツについて、発注側の視点から解説していきます。

確認目的と対象範囲を開発ベンダーに明確に指示する

「何を確認するためにプロトタイプを作るのか」を、開発ベンダーに対して明確に指示することが大切です。

「本当に必要な機能は何か」「デザインは適切か」「複数部門の要望を整理できるか」「新しい技術は本当に動くのか」など、確認したいポイントを事前に整理しておくことで、開発ベンダーの作業範囲が限定され、不必要なコストを抑えられます。

発注側が取るべき行動として、発注前に、社内で確認目的をまとめたドキュメントを作成し、開発ベンダーに渡すことが効果的です。

確認目的を明確にするための質問事項を以下にまとめました。

  • このシステム導入で、どのような経営課題を解決したいのか。
    売上向上、業務効率化、コスト削減など、経営目標を明確にする
  • 成功の基準は何か。
    「営業効率が30%向上する」など、具体的な成功指標を数値化する
  • 本当に不確実な要件は何か(どの部分が最大のリスク要因か)。
    操作フロー、データ構造、技術選定など、リスク要因を特定する
  • 確認する際に、誰の意見を最重視すべきか。
    営業部門、企画部門、経営層など、意思決定の中心を決める
  • プロトタイプ完成後、どのように判断を下すのか。
    判断期限、承認フロー、判断基準を事前に設定する

これらの質問に答えることで、プロトタイプ開発の目的が明確になり、開発ベンダーも効率的に進めることができます。

スコープを適切に開発ベンダーと協議して絞り込む

全機能を試作版に含める必要はありません。重要な機能や、不確実な要素に絞ってプロトタイプを作ります。例えば、営業支援システムなら「顧客管理」と「受注管理」の基本機能に絞り、売上分析機能や予測機能は含めないといったように、段階的に機能を分けることがポイントです。

発注側として「スコープ外」を明確にしておくことで、開発ベンダーとのコスト交渉がスムーズになります。

スコープの優先順位を決める際に、以下のような分類が有効です。この分類を開発ベンダーに提示することで、見積もりと期間が正確になります。

  • 優先度1(確認必須の機能):
    プロトタイプに必ず含める部分であり、経営判断に不可欠な機能です。この部分の品質は確保する必要があります。
  • 優先度2(あると良い機能):
    時間と予算に余裕があれば含める補助的な機能です。必須ではありませんが、確認できると判断の精度が上がります。
  • 優先度3(後から追加可能な機能):
    本開発時に組み込む方が効率的な発展的な機能です。プロトタイプ段階では不要です。
  • 優先度4(プロトタイプでは不要な機能):
    明示的に除外し、本開発でも改めて検討しない機能です。これを明記することで、コスト増加を防ぎます。

複数の実務ユーザーから直接フィードバックを取る仕組みを作る

システム担当者だけでなく、実際に使う部署の現場の営業や管理者からの意見を積極的に集めることが重要です。営業部門からは「この操作フローは営業活動の流れと異なる」「この画面には必要な情報が足りない」といった、実践的で具体的なフィードバックが得られます。

発注側として、フィードバック収集の仕組みを事前に構築しておくことが成功の鍵となります。

効果的なフィードバック収集の方法は、以下の通りです。

  • 複数の実務ユーザーに試作版を使ってもらう(3~5名程度)。
    個人差を考慮し、複数ユーザーからの意見を集約することで、より正確な要件が浮かび上がります。
  • 実際の業務シナリオに沿ったテストを行う。
    実務に即したテスト環境で、リアルな課題を抽出します。例えば、営業システムなら「月末の営業成績報告」というシナリオを用意するなど。
  • フィードバックシートで定性的・定量的な意見を収集。
    構造化されたフォーマットで、意見の集約を効率化します。「操作性は1~5で評価」「改善してほしい点は」といった質問項目を決める。
  • 部門別・個人別の意見をまとめて、優先順位を付ける。
    部門ごとの要望を整理し、経営判断に活かします。営業部門の意見と管理部門の意見が異なる場合、プロトタイプで実検証を行います。
  • 経営層と実務部門の意見の相違を整理する。
    経営層が想定していた要件と、実務部門が実際に必要とする要件にズレがある場合、プロトタイプはその調整役として機能します。

本番運用化を防ぐための契約条項を盛り込む

プロトタイプで作った試作版は、そのまま本番運用することは極力避けるべきです。試作版はセキュリティ対策やパフォーマンス最適化が施されていないため、本番環境での運用には向きません。

事前に「プロトタイプはあくまでも確認用」という方針を開発ベンダーと経営層の間で共有しておくことが重要です。

発注時の契約書に、以下の事項を明記することを強く推奨します。

  • プロトタイプの運用期限を決定する。
    「プロトタイプは納品日から3ヶ月間のみ運用。その後は廃棄し、本開発に切り替える」と明記することで、本番運用化を法的に防ぎます。
  • 本開発の開始時期を事前に設定する。
    「プロトタイプ完成後、1ヶ月以内に本開発を開始する」という条件を契約に盛り込むことで、スケジュール遅延を防ぎます。
  • 本番データの使用禁止を明記する。
    「プロトタイプではテストデータのみ使用し、本番データは持ち込まない」と契約に記載することで、データ損失のリスクを防ぎます。
  • セキュリティリスクの書面確認を取る。
    「プロトタイプのセキュリティは不十分であることを承知の上で利用する」という書面に、経営層に署名させることで、後のトラブルを防ぎます。
  • 本開発移行時のデータ移行方法を事前に検討する。
    プロトタイプで管理していたテストデータを本開発に引き継ぐ際の手順を明確にしておくことで、スムーズな移行が実現します。

プロトタイプ完成後の意思決定をあらかじめプロセス化する

プロトタイプを見た後の意思決定が遅れないよう、事前に判断基準や承認フロー、判断期限を決めておくことが重要です。

「プロトタイプ完成から2週間以内に、経営層の判断を下す」といった形で、意思決定のプロセスを明確にしておくと、プロジェクトがスムーズに進みます。発注側として「いつまでに誰が何を判断するか」を事前に組織内で合意しておくことが成功のコツです。

意思決定を円滑に進めるために、以下の体制を整備しておくことが有効です。

  • 判断基準を明確にする。
    「経営目標の達成が見込めるか」「投資効果がプラスになるか」「全部門から承認が得られるか」など、判断基準を複数設定し、これらの基準をクリアしたら本開発に進むと決める。
  • 承認フローを段階的に構築する。
    営業→企画→経営層など、段階的な承認ルートを決めておくことで、各部門の意見を順序立てて収集できます。
  • 判断期限を厳密に設定する。
    「プロトタイプ完成から2週間以内に営業評価、その1週間後に経営判断」といった具体的なスケジュールを設定し、判断の遅延を防ぎます。
  • 確認会議のスケジュールを事前に予定する。
    プロトタイプ完成予定日の3週間前から、経営層の会議予定を押さえておき、確実に評価会議が実施されるようにします。
  • 判断後の行動(本開発開始)を明確に準備する。
    判断直後に本開発チームを立ち上げ、体制や予算をすぐに配置できるよう、事前に人員配置計画を作成しておきます。

まとめ

プロトタイプ開発は、本開発の前に試作版で要件や技術的な課題を確認する方法です。初期段階での問題発見により、本開発での大きな修正を防ぎ、結果的にコスト削減と品質向上につながります。

新しい業務プロセスの導入、新しい技術の活用、複数部署が関わるシステム、初めてのシステム導入など、要件が不確実な場合にはプロトタイプ開発が役立ちます。

短期的には追加コストがかかりますが、長期的には確実なシステム構築につながる投資といえるでしょう。

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